ホームページ制作において「jQuery」は使うべきか?【40歳からのWebデザイン:第8回】 | MONOCHROME(モノクローム)

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ホームページ制作において「jQuery」は使うべきか?【40歳からのWebデザイン:第8回】

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■ jQueryとは?その誕生と功績

まず簡単におさらいです。
jQueryは2006年にリリースされたJavaScriptライブラリで、目的は「ブラウザ間の差を気にせず、簡単にJavaScriptを書く」ことでした。

当時はInternet ExplorerやFirefoxなど、ブラウザごとにDOM操作の方法が異なり、開発者は頭を抱えていました。
その中でjQueryは、シンプルな記述と高い互換性で一躍スタンダードに。
「JavaScriptを書くならjQueryが必須」と言われる時代が続きました。

しかし、状況は大きく変わります。


■ 現代のWeb開発環境:ネイティブJSの進化

近年のブラウザは、標準的なJavaScript(ES6以降)の機能が充実しています。
たとえば、jQueryの代表的な便利機能だった以下のような書き方も、今ではネイティブで簡潔に書けます。

目的 jQuery 現代的JavaScript
要素の取得 $('.class') document.querySelectorAll('.class')
クリックイベント $('.btn').on('click', fn) document.querySelector('.btn').addEventListener('click', fn)
Ajax通信 $.ajax({...}) fetch('/api').then(res => res.json())

つまり、「昔はjQueryじゃないと書けなかったこと」が、今は標準でできるようになったのです。


■ jQueryの現状と使用シーン

2025年現在でも、jQueryは完全に消えたわけではありません
以下のようなケースでは、依然として利用価値があります。

① 既存サイトの保守

企業のコーポレートサイトや官公庁サイトでは、10年以上前に作られたものも多く、jQueryが深く組み込まれています。
このようなサイトを改修する際、あえて全てを書き換えるのはコストが高すぎます。
そのため、既存コードとの互換性を保つ目的で使い続けることは理にかなっています。

② 簡易的なアニメーションやUI構築

例えば、数ページだけの小規模なサイトで「スライドショー」「タブ切り替え」「アコーディオンメニュー」などをサッと作りたい場合。
ReactやVueを導入するほどでもなく、ネイティブでゼロから書くのも面倒…という時、
「jQuery + プラグイン」で手早く実装できるのは今も強みです。

③ WordPressや古いテーマとの互換性

WordPressでは多くのテーマやプラグインがまだjQueryに依存しています。
そのため、テーマやプラグインの動作保証のためにjQueryをロードすることも少なくありません。


■ jQueryを使う「デメリット」

もちろん、今あらためてjQueryを採用することにはリスクもあります。

1. ファイルサイズの増加

jQuery本体は約90KB(minify後でも30KB以上)。
現代の軽量フロントエンド環境では、これは無視できないサイズです。
ページ速度を重視するGoogleのCore Web Vitals(特にLCPやFID)にも影響を与える可能性があります。

2. 可読性と保守性の低下

近年のJavaScriptはモジュール構造やクラス構文が主流。
一方、jQueryはスクリプトを1ファイルに詰め込みがちで、関数スコープも明確でないため、
規模が大きくなるとコードの見通しが悪くなる傾向があります。

3. 依存性による更新リスク

2020年代に入り、ブラウザAPIの更新やセキュリティ強化によって、古いjQueryプラグインが動かなくなる事例も増えています。
外部ライブラリに依存しすぎると、アップデート対応の負担が増えることもあります。


■ モダンフロントエンドとの関係:React/Vue/Next.js時代における立ち位置

今のWeb制作では、「動きのあるUI=フレームワークで実装」が当たり前になっています。
React、Vue.js、Next.js、Svelteなどが主流で、これらは「状態管理」や「コンポーネント思考」に基づいています。

これらのフレームワークとjQueryを併用するのは基本的に非推奨です。
DOM操作の仕組みが根本的に異なり、衝突や意図しない再描画が起きるリスクがあるためです。


■ 「それでも使う」場合のポイント

どうしてもjQueryを使いたい場合、以下の点を意識すると良いでしょう。

  1. スコープを限定する
    jQueryをグローバルに読み込まず、必要なページやコンポーネントだけで利用。

  2. バージョン管理を明確にする
    プラグインによっては1系・2系・3系で互換性が異なります。
    バージョン固定をして依存関係を明示するのが安全です。

  3. 将来的な置き換えを見据える
    「一時的な利用」と割り切る。
    いずれReact/Vueなどにリプレイスできるよう、DOM構造を整理しておきましょう。


■ 結論:jQueryは「もう必須ではない」けれど「まだ使える」

要約すると次のようになります。

観点 評価
学習コスト 低い(初心者にも簡単)
モダン環境との相性 低い(React/Vueとは非推奨)
保守性 中〜低(レガシー構文が多い)
パフォーマンス 劣る(バンドルサイズが大きい)
現場での実用性 限定的(小規模や保守案件では有効)

つまり、新規サイトではjQueryを積極的に使う理由はほとんどありません
しかし、保守案件や小規模サイトでは依然として現役であり、
「目的とコストに応じて選択する」ことが大切です。


■ これから学ぶなら何を使うべき?

これからWeb制作を始める人には、以下の学習ステップをおすすめします。

  1. Vanilla JavaScript(純粋なJS)をマスターする
    → jQueryを使わずに同じことを実現できるスキルを身につける。

  2. モダンフレームワーク(React / Vue / Svelteなど)に触れる
    → 動的UIやSPA開発の基礎を理解する。

  3. ビルド環境(Vite / Webpack / Next.jsなど)を理解する
    → 現代の開発フローを実践できるようにする。

これらを習得すれば、jQueryに依存せずに柔軟な開発が可能になります。


■ まとめ

「jQueryはもう古い」と言われて久しいですが、完全に消えるわけではありません。
むしろ、目的を明確にすれば今でも有用なツールです。

  • 新規開発 → 使わない方が良い

  • 既存保守・小規模サイト → まだまだ現役

ツールは「流行」ではなく「最適解」で選ぶもの。
2025年のWeb制作では、「何を使うか」よりも「なぜ使うか」を説明できるエンジニアが求められています。


参考情報:

  • Mozilla Developer Network (MDN): https://developer.mozilla.org/

  • jQuery Official Website: https://jquery.com/

  • Google Developers: Core Web Vitals 指標ガイド(2024年版)

  • GitHub jQuery リポジトリ Star/Commit 履歴(2025年時点)