■ jQueryとは?その誕生と功績
まず簡単におさらいです。
jQueryは2006年にリリースされたJavaScriptライブラリで、目的は「ブラウザ間の差を気にせず、簡単にJavaScriptを書く」ことでした。
当時はInternet ExplorerやFirefoxなど、ブラウザごとにDOM操作の方法が異なり、開発者は頭を抱えていました。
その中でjQueryは、シンプルな記述と高い互換性で一躍スタンダードに。
「JavaScriptを書くならjQueryが必須」と言われる時代が続きました。
しかし、状況は大きく変わります。
■ 現代のWeb開発環境:ネイティブJSの進化
近年のブラウザは、標準的なJavaScript(ES6以降)の機能が充実しています。
たとえば、jQueryの代表的な便利機能だった以下のような書き方も、今ではネイティブで簡潔に書けます。
| 目的 | jQuery | 現代的JavaScript |
|---|---|---|
| 要素の取得 | $('.class') |
document.querySelectorAll('.class') |
| クリックイベント | $('.btn').on('click', fn) |
document.querySelector('.btn').addEventListener('click', fn) |
| Ajax通信 | $.ajax({...}) |
fetch('/api').then(res => res.json()) |
つまり、「昔はjQueryじゃないと書けなかったこと」が、今は標準でできるようになったのです。
■ jQueryの現状と使用シーン
2025年現在でも、jQueryは完全に消えたわけではありません。
以下のようなケースでは、依然として利用価値があります。
① 既存サイトの保守
企業のコーポレートサイトや官公庁サイトでは、10年以上前に作られたものも多く、jQueryが深く組み込まれています。
このようなサイトを改修する際、あえて全てを書き換えるのはコストが高すぎます。
そのため、既存コードとの互換性を保つ目的で使い続けることは理にかなっています。
② 簡易的なアニメーションやUI構築
例えば、数ページだけの小規模なサイトで「スライドショー」「タブ切り替え」「アコーディオンメニュー」などをサッと作りたい場合。
ReactやVueを導入するほどでもなく、ネイティブでゼロから書くのも面倒…という時、
「jQuery + プラグイン」で手早く実装できるのは今も強みです。
③ WordPressや古いテーマとの互換性
WordPressでは多くのテーマやプラグインがまだjQueryに依存しています。
そのため、テーマやプラグインの動作保証のためにjQueryをロードすることも少なくありません。
■ jQueryを使う「デメリット」
もちろん、今あらためてjQueryを採用することにはリスクもあります。
1. ファイルサイズの増加
jQuery本体は約90KB(minify後でも30KB以上)。
現代の軽量フロントエンド環境では、これは無視できないサイズです。
ページ速度を重視するGoogleのCore Web Vitals(特にLCPやFID)にも影響を与える可能性があります。
2. 可読性と保守性の低下
近年のJavaScriptはモジュール構造やクラス構文が主流。
一方、jQueryはスクリプトを1ファイルに詰め込みがちで、関数スコープも明確でないため、
規模が大きくなるとコードの見通しが悪くなる傾向があります。
3. 依存性による更新リスク
2020年代に入り、ブラウザAPIの更新やセキュリティ強化によって、古いjQueryプラグインが動かなくなる事例も増えています。
外部ライブラリに依存しすぎると、アップデート対応の負担が増えることもあります。
■ モダンフロントエンドとの関係:React/Vue/Next.js時代における立ち位置
今のWeb制作では、「動きのあるUI=フレームワークで実装」が当たり前になっています。
React、Vue.js、Next.js、Svelteなどが主流で、これらは「状態管理」や「コンポーネント思考」に基づいています。
これらのフレームワークとjQueryを併用するのは基本的に非推奨です。
DOM操作の仕組みが根本的に異なり、衝突や意図しない再描画が起きるリスクがあるためです。
■ 「それでも使う」場合のポイント
どうしてもjQueryを使いたい場合、以下の点を意識すると良いでしょう。
-
スコープを限定する
jQueryをグローバルに読み込まず、必要なページやコンポーネントだけで利用。 -
バージョン管理を明確にする
プラグインによっては1系・2系・3系で互換性が異なります。
バージョン固定をして依存関係を明示するのが安全です。 -
将来的な置き換えを見据える
「一時的な利用」と割り切る。
いずれReact/Vueなどにリプレイスできるよう、DOM構造を整理しておきましょう。
■ 結論:jQueryは「もう必須ではない」けれど「まだ使える」
要約すると次のようになります。
| 観点 | 評価 |
|---|---|
| 学習コスト | 低い(初心者にも簡単) |
| モダン環境との相性 | 低い(React/Vueとは非推奨) |
| 保守性 | 中〜低(レガシー構文が多い) |
| パフォーマンス | 劣る(バンドルサイズが大きい) |
| 現場での実用性 | 限定的(小規模や保守案件では有効) |
つまり、新規サイトではjQueryを積極的に使う理由はほとんどありません。
しかし、保守案件や小規模サイトでは依然として現役であり、
「目的とコストに応じて選択する」ことが大切です。
■ これから学ぶなら何を使うべき?
これからWeb制作を始める人には、以下の学習ステップをおすすめします。
-
Vanilla JavaScript(純粋なJS)をマスターする
→ jQueryを使わずに同じことを実現できるスキルを身につける。 -
モダンフレームワーク(React / Vue / Svelteなど)に触れる
→ 動的UIやSPA開発の基礎を理解する。 -
ビルド環境(Vite / Webpack / Next.jsなど)を理解する
→ 現代の開発フローを実践できるようにする。
これらを習得すれば、jQueryに依存せずに柔軟な開発が可能になります。
■ まとめ
「jQueryはもう古い」と言われて久しいですが、完全に消えるわけではありません。
むしろ、目的を明確にすれば今でも有用なツールです。
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新規開発 → 使わない方が良い
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既存保守・小規模サイト → まだまだ現役
ツールは「流行」ではなく「最適解」で選ぶもの。
2025年のWeb制作では、「何を使うか」よりも「なぜ使うか」を説明できるエンジニアが求められています。
参考情報:
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Mozilla Developer Network (MDN): https://developer.mozilla.org/
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jQuery Official Website: https://jquery.com/
-
Google Developers: Core Web Vitals 指標ガイド(2024年版)
-
GitHub jQuery リポジトリ Star/Commit 履歴(2025年時点)