「Web制作を始めるなら、パソコンはMacとWindowsのどちらがいいですか」。エンジニア界隈で昔から繰り返されてきた質問ですが、これから学ぶ人にとっては切実です。安い買い物ではないからです。

私はMacBookを使っていますが、仕事柄どちらの環境も触ってきました。この記事では、Web制作とプログラミングという用途に絞って、それぞれのメリットとデメリット、私がMacを選んでいる理由、そして2026年の今だから言えること(AIツールとの相性、WindowsでもUNIX系の開発ができること)をまとめます。

CONTENTS目次
  1. 結論:Web制作だけならどちらでもいい。迷うならMac、予算優先ならWindows
  2. Mac(macOS)のメリット・デメリット
  3. Windowsのメリット・デメリット
  4. 私がMacBookを使う理由
  5. それぞれに向いている人
  6. 両方を使うという選択肢
  7. これから買う人へ:最低限のスペック
  8. まとめ

結論:Web制作だけならどちらでもいい。迷うならMac、予算優先ならWindows

Mac Windows
Web制作(HTML・CSS・JavaScript) 問題なし 問題なし
開発環境の構築のしやすさ 標準でUNIX系のターミナルが使える WSL2を入れれば同等。ひと手間かかる
学習情報の多さ Web系の解説記事はMac前提が多い 記事どおりに進まないことがたまにある
価格 高め(エントリー機で十数万円〜) 幅広い。同じ性能なら安い
iPhoneアプリの開発 必須(Xcodeが動くのはMacだけ) できない
ゲーム・3D・業務ソフト 動かないものがある ほぼ全部動く

HTML・CSS・JavaScriptを書いてWebサイトを作る、という範囲なら、正直どちらでも困りません。VS CodeもFigmaもブラウザも、両方で同じように動きます。差が出るのは「その先」で、ターミナルを使う作業の快適さ、学習記事との相性、そして予算です。

Mac(macOS)のメリット・デメリット

観点 メリット デメリット
開発環境 macOSはUNIX系のOS。標準のターミナルでLinuxサーバーとほぼ同じコマンドが使え、Web開発の道具がそのまま動く Windows専用の業務ソフトや一部の開発環境が動かない
操作性・デザイン シンプルで統一感がある。トラックパッドの操作が快適 細かなカスタマイズの自由度は低め
安定性 フリーズが少なく、長時間の作業でも安定している 高負荷が続くと発熱が気になる機種もある
セキュリティ 標準機能で堅牢。ウイルス対策に神経質にならなくてよい 「Macは安全」と油断してアップデートを怠ると意味がない
価格 品質と筐体の完成度を考えれば納得感はある 同じ性能のWindows機より高い。修理代も高い

補足すると、macOSは「Linuxベース」ではありません。LinuxもmacOSも、UNIXという古いOSの流れをくむ「UNIX系」の仲間で、だからコマンドや開発ツールの多くが共通して使えます。Webサイトを公開するサーバーの大半はLinuxなので、手元のMacで慣れたコマンドがサーバーでもほぼそのまま使える、というのがMacが開発者に好まれてきた大きな理由です。

Windowsのメリット・デメリット

観点 メリット デメリット
対応ソフト 業務・ゲーム・設計など、ほぼ全ジャンルのソフトが動く 選択肢が多すぎて迷う
カスタマイズ性 ハードもソフトも自由度が高い。自作や増設もできる 設定を誤ると不安定になりやすい
コスト 同じ性能で比べると安い。10万円以下でも十分な機種がある 価格帯が広く、安すぎる機種は品質にばらつきがある
トラブル対応 パーツ交換や修理がしやすく、情報も多い メーカー製のプリインストールソフトが邪魔になることがある
開発用途 C#やWindowsアプリ、.NET系の開発に最適。WSL2でLinux環境も使える UNIX系の開発はWSL2の導入が前提。記事どおりに進まないことがある

Windowsで補足しておきたいのがWSL2(Windows Subsystem for Linux)です。Windowsの中で本物のLinuxを動かす仕組みで、無料で使えます。これを入れると、Macと同じようにUNIX系のコマンドや開発ツールが使えるようになります。Web制作の学習でターミナルを使う段階に来たら、Windowsの人はまずWSL2を入れてください。昔は「開発するならMac」と言われましたが、WSL2が安定した今、その差はかなり小さくなっています。

私がMacBookを使う理由

私がMacBookを選んでいるいちばんの理由は、フリーズが起きにくいことです。以前Windowsを使っていたとき、長時間の開発や仮想環境を動かしていると、突然動作が止まることが何度かありました。Macではそのストレスがほとんどありません。メモリ管理の賢さと、OSとハードを同じ会社が作っている一体感は、毎日使うほど効いてきます。

もう1つは、単純に見た目が好きだからです。毎日何時間も触る仕事道具なので、デザインや質感は軽視できません。アルミボディの質感やキーボードの打鍵感は、仕事に向かう気持ちを自然と上げてくれます。これは性能の話ではなく、続けるためのモチベーションの話です。

そしてもう1つ、2026年の今はAIコーディングツールとの相性があります。Claude CodeやCodexのようにターミナルから動かすAIツールは、UNIX系の環境を前提に作られているものが多く、Macなら追加の設定なしでそのまま動きます。Windowsでも WSL2 の中で動きますが、「まずWSL2を入れる」という前段階が1つ増えます。

それぞれに向いている人

タイプ 向いているPC 理由
Webデザイナー・フロントエンド志望 Mac(Windowsでも可) 開発環境の構築が楽で、学習記事の多くがMac前提
iPhoneアプリも作りたい Mac一択 開発ツールのXcodeがMacでしか動かない
ゲーム・3D・CADも使う Windows GPU性能の選択肢とソフトの対応で優位
予算を抑えて始めたい Windows 10万円以下でも学習には十分。WSL2で開発環境も作れる
会社の業務ソフトも使う Windows Windows専用の業務ソフトはまだ多い

両方を使うという選択肢

「Macで開発、Windowsで表示確認」のように、両方の強みを活かすエンジニアもいます。制作したサイトはWindowsのブラウザでも確認する必要があるので、サブ機として安いWindows機を持っておくのは実務でも役に立ちます。

1台で済ませたい場合、現在のMac(Apple Siliconを搭載した機種)では、かつての「Boot Camp」でWindowsを直接インストールする方法は使えません。代わりに、Parallels Desktopのような仮想化ソフトでArm版のWindows 11を動かすのが一般的で、Microsoftもこの方法を公式に認めています。ただし有料で、すべてのWindowsソフトが動くわけではないので、「Windows専用の重いソフトを常用する」人は最初からWindows機を選ぶほうが確実です。

これから買う人へ:最低限のスペック

MacかWindowsかより大事なのが、メモリの量です。VS Code、ブラウザのタブを大量に開いた状態、Figma、そしてAIツールを同時に動かすと、メモリ8GBでは厳しくなってきました。

  • メモリ:16GB以上。後から増やせない機種(Macや薄型ノート)は特に、最初から16GB以上を選ぶ
  • ストレージ:SSD 512GB以上が安心。256GBでも始められるが、すぐ埋まる
  • 画面:13〜14インチが持ち運びと作業のバランスがよい。自宅では外部モニターをつなぐと作業効率が大きく上がる
  • Windowsを選ぶなら:WSL2が動くWindows 11搭載機。メーカー製の不要なソフトが少ない機種だと快適

まとめ

  • HTML・CSS・JavaScriptを書くだけなら、MacでもWindowsでも困らない
  • Macは安定性・UNIX系の開発環境・AIツールとの相性が強み。価格は高い
  • Windowsはコストと対応ソフトの幅が強み。開発にはWSL2を入れる
  • iPhoneアプリを作るならMac一択。ゲームや業務ソフトも使うならWindows
  • どちらを選ぶにしても、メモリは16GB以上

私の場合は「動作の安定性」と「見た目の好み」でMacBookを使っています。どちらが正解ということはなく、自分の予算と用途、そして毎日触って気分が上がるかどうかで選んでください。道具に迷う時間は短く、作る時間を長く。それが40歳から始めた私の実感です。

前回はホームページ制作にjQueryはまだ使うべきか?です。エディタの選び方は第2回、デザインツールは第3回で解説しています。連載の全体像は第1回「HTML・CSSはどこで習う?」の末尾にある一覧からたどれます。